『思いを胸に次の時代へ〜2015〜』

『思いを胸に次の時代へ〜2015〜』
 
 2015年。多くのサラブレッドが私たちの夢を乗せターフの上を、ダートの上を駆けていき、その姿に胸を躍らせ、瞳を潤ませ、声が枯れるほど思いを叫んだ。そんな競馬も今年は残すところわずかである。輝かしい舞台とともに多くの感動が生まれたのに対し、私たちが夢を託した多くのサラブレッドが天国のターフに旅立ったことを忘れてはならない。 

金色と白銀の二頭の怪物を送り出したステイゴールド。
父親譲りの美しい流星だったマンハッタンカフェ。
サンデーサイレンス時代の幕開けを告げたジェニュイン。
「南関東のサンデーサイレンス」と呼ばれたアジュディケーティング。
12歳まで飛び続けた名ジャンパー・メルシーエイタイム。
現役馬でも、鞍上との固い絆で淀を駆け抜けたアンバルブライベン。
父とともにこの世を去ったダート界の若武者クロスクリーガー。
そして海外でも世界をまたに駆けたレッドカドー。

 ここで上げた優駿の他にも数多の馬たちが、新たなるウイニングポストを目指してスタートしたのである。
人によって、競馬の考え方は違う。一つのギャンブルと考える人もいれば、世界中で開催されている立派なスポーツだと思う人もいる。ただ共通しているのは、競馬に関わる人たちは皆、「馬」が好きなのである。一頭ではレースは成立しないし、自由に走り回ってはレースにならないからサポートする騎手がいる。私たちはそこに当たり前にある「競馬」という奇跡を忘れてはならない。作家・寺山修司が言った言葉はまさにその通りである。

「18頭のサラブレッドが出走するレースには、少なくとも18の叙事詩がある」

 どんなサラブレッドでもそこには、数多の思いがあってこのステージに立っている。結果が出なくても、ひたむきにただ一生懸命に走るサラブレッドがいるのである。この世に必要ない馬なんて存在しない。どのレースでも走ったものたちは「英雄」である。だからどうかレースが始まる前には「全馬無事に」と願い、レースを終えて帰ってくる彼ら彼女らに一言「よく頑張った」と声をかけてほしい。それが未来へと続く道となってもらいたいと私は切に願う。本来の競馬の目的が「品質向上」であるためどうしても淘汰されてしまう馬もいる。だからこそ残されたものは、次へと繋いでいかなければならない。私に競馬を教えてくれたのはディープインパクトであり、競馬の素晴らしさを伝えてくれたのはその子・キズナである。受け継がれていく思いとともに私は今日も目の前で起こる奇跡に胸を熱くさせるのである。

 時折聞かせてほしい。あの馬の事を。あなたの記憶の中で彼が、彼女が最も輝いた刹那を…

筆・コアさん(Twitter@KOAkizuma)

随時皆様からのコラムを募集しております。お問い合わせフォームより!